| プロジェクトX 挑戦者 光線力学療法・PDT ステージII 男性 五十二歳 |
| 食道がん、健康でいると余り気にならない病名、しかし病の当事者になると大変重たく且つつらい病名となってきます。私も会社の健保組合の定期検診(人間ドック)により二次検診を受け、食道がんが発見されました。しかしながら充分な対処知識が無いままN大学病院を紹介され、「急ぎ手術が必要です、でも手術をしたからといって再発の可能性は無くなりません。」の声を受けつつ、手術以外の方法を、長男を始めとする家族がインターネットを通じて探し、そしてオミノさんのホームページに勇気付けられた中の一人です。治療については残念ながら放射線療法では完治せず、新たな挑戦としてPDT療法(光線力学療法)を選択、一年を経て順調な経過をたどっています。以下に病との格闘の内容を記しますので参照頂ければと思います。 |
第一章 病との遭遇 平成14年6月中旬、定例の日帰り人間ドックのために東京・鶯谷の社会保険鶯谷検診センターに出向く。レントゲン検査で何回もバリュウムを飲ませられたため閉口していたところ、二次検診を受けるようにとのお達し。以前胃に影が出たため胃カメラを飲んだところ異常無しとの経験もあったため、余り気にも留めていなかった。しかし二次検診の結果、精密検査が必要とのことで、N大学病院への紹介状を受領。後日N大学病院内科を受診、立錐の余地もないような混雑した待合室で待つこと約2時間、やっと先生との面談になった。紹介状を見るや否や「既に内科の域を超えているため外科に参りましょう」と急ぎ外科に。ここで外科の先生とバトンタッチ。食道がんの治療は手術のみと、手術方法(食道を切除し胃を吊り上げ喉につなげるもの)について説明を受けた。但し手術をしても再発はあるとの説明。それまで食道がんの手術を簡単なもの(食道の一部のみを切除すればOKと)と考えていた自分が浅はかであったことに気がついた。 その後インターネットで検索、手術が大掛かりで、場合によってはその手術で命を落とす場合もあることが分かってきた。同時にオミノさんのホームページにも出会い手術によらない治療方法もあることが分かった。どう対処すればよいのか迷っている間に、家内・長男より先ずは東病院に行き大津先生に診てもらおうとの強い意見。休み明けの月曜日早速長男の運転で東病院に向かう運びとなった。N大学病院で手術の説明を受けてから、東病院に向かうまで僅か数日の慌ただしい動きであった。 |
第二章 放射線化学療法 平成14年7月初めの月曜日、東病院に向かう。練馬の自宅から外環/常磐道を経由して柏へ片道約50Km 1時間少々のドライブで道は分かり易い。受付に事情を説明して消化器内科へ、大津先生の外来日ではなかった。初診につき予約無き為待つこと2時間少々、先生より呼び出しのアナウンス、診察室に入ると非番にもかかわらず、大津先生に見ていただく事が出来た。大津先生より今後の治療方針など概略の説明を受け、超音波内視鏡など検査スケジュールを決める。その後通院検査を進め8月初旬入院。お盆期間中にもかかわらず放射線と抗がん剤を併用した放射線化学療法を開始した。一週間は無事終了、しかし二週間目の始め腹痛/発熱どうも5-FUが合わないようだ。看護士の方が骨髄抑制ではないかとのこと。数日間食事も取れず点滴で過ごす事となった。その際三梨先生、大津先生に大変お世話になることとなった。その後抗がん剤を変更し2ndクールも完了、10月にはがん組織も無くなり治療完了、観察期間に入る。年も明けて平成15年3月の定期健診の際、残念ながら再発が発見された。 大津先生より「残念ながら再発しました。放射線による再治療は出来ません。残る手立ては手術です。外科の先生のお話を伺う機会を設けます。」とのこと。突然の判決言い渡しに愕然。大津先生に手術以外の手立ては無いものかと際再度しつこく伺う。根負けしたように、「まだ評価は固まっていないが新しい治療法がある、詳しくは武藤先生に伺ってほしい」とのこと。早速内視鏡室に向かい武藤先生との面談。PDT(光線力学療法)を知る。 |
第三章 PDT(光線力学療法) 平成15年3月中旬 武藤先生との面談。PDTは食道がんの新しい治療法。フォトフリン液を注射しエージング後レーザー照射しがん組織を除去するもので、原理的には筋層までのがん細胞を破壊するとのこと。手術に対し安全性が高く、且つ放射線とは異なり複数回の治療が可能であるためPDT実施後の再発で手術を選択することも出来るとの説明を頂いた。元来手術は避けたかったため、PDTを選択。4月初旬より入院治療に当たることとした。PDT治療は光による感受性が高まるため、フォトフリン注射後は部屋を暗くし反応を抑える必要がある。このため、入院は個室で、部屋を暗くし、且つ日焼け止めクリームのお世話にならなければならない。その後2〜3ヶ月についても紫外線は大敵となる。 4月上旬の金曜日入院。高価なフォトフリンを注射。中2日を置いて月曜・火曜の両日内視鏡によるレーザー照射。一日約2時間程度。レーザー照射中は麻酔を選択し一眠り。一瞬でレーザー治療が完了した。レーザー照射後は治療部に炎症が生じるため、点滴〜重湯〜お粥の順で食事が変わる。お粥が食べられるようになって退院この間約2週間。その後は自宅でお粥を中心とした軟らかい食事が中心となる。また食道の患部に表皮が形成され潰瘍部が完全になくなるまで数ヶ月を要した。尚、がんが消失したことは言うまでも無い。 しかしながら最も重要なこと、それは患部に新たに形成された表皮が食道を狭めるため、食道の拡張が必要となる。表皮が形成された後、週一回程度の拡張を内視鏡とバルーンを用いて行う。当初は食道が狭まっているため流動食的な食事が中心だが、拡張術の回を重ねるうち、徐々に食道も拡張し ,一年を経過した現在通常の食生活が送れるまでに改善した。但し現在でも4週間に一回の拡張術を受けている。今後どのようにインターバルが拡大するのかはこれからの課題となる。 |
第四章 PDT療法を受けて見て 放射線化学療法、PDT療法両治療法を受けてみて、PDT療法は入院期間が短く、入院時の身体的負担が軽く感じられた。退院後の食道拡張術は、当面月2回程度は必要となるため通院手段が肝心となる。拡張術には内視鏡が用いられるため麻酔薬が使用される。このため患者自身の運転による自動車での通院は難しい。私の場合は家内が運転できるため、拡張術の際には多いにお世話になった。通院の足が確保できればPDT療法は非常に有効と判断ができるし、仮に手術との比較を検討するならば、術後の食事への支障の少ないPDT療法を選択すべく、武藤先生他専門家のアドバイスを受けることをお勧めいたします。きっと新たな道が見つかるものと思います。 |
2004/5/8初掲載 |